2015年03月12日

スマホ勢の席巻に譲歩する部分と屈しない部分(パソコン派のウェブ管理者によるマークアップ、スタイル、CMS構築上の意識の使い分けの考察)

 あるユビキタス機器の寡占的な流行の勢いというのは、例えばバレンタインデー直前にデパートの店頭がどうしてもきらびやかなチョコレートだらけになる光景に似ていて、どこまでも人間(日本人)が自力で止められないものらしい。

 最近のスマートデバイス(スマートフォンやタブレット端末などの、画面が小さい最近の携帯型端末)偏重の風潮をあまり好きになれない、頑固で堅物なパソコン派の私が(パソコンでゆっくりじっくり閲覧されることを重視して)制作してきた自分のサイト(やブログ)についても、スマートデバイスからのご訪問がますます増えている。

※ アクセス解析データ書庫
http://iwasakijunichi.net/analysis/
(昨年の解析結果についても、いずれ「アクセス解析データ書庫」に掲載する予定。)

 とりわけ、パソコンからのご訪問者様とスマホ・タブレットからのご訪問者様との間で、リピート率(または新規訪問率)や滞在率(直帰率・離脱率)、閲覧時間の差がどんどん広がっている。後者のほうが、リピート率、一回のご訪問当たりの(サイトを離脱するまでの)閲覧ページ数・コンテンツ数、一回のご訪問当たりの閲覧時間の全てにおいて前者を著しく下回っているが、ご訪問者数については前者よりも圧倒的に多い。

(逆に、金銭的な事情のため、所持している端末が低価格のスマホだけで、高価で画面の大きなパソコンは所持していないのに、それでも私のサイトを小さな画面で長期に渡り真剣に読んで下さっているご訪問者様のことを私がどれほどありがたく思っているか、ということも言いたいわけである。)

 こういった現象自体は、私のサイトに限らず、ウェブ世界全般にとっても統計上の常識だし、今までにも下掲の【関連ブログ記事】などに書いてきたわけで、スマホよりもパソコンのほうを好むウェブサイト管理者が特に気になっている点だと思う。

 興味深いのが、スマホ向けのサイトをパソコンとスマホで閲覧する場合にも似た現象が起きていることである。つまり、スマホでスマホ向けサイトを閲覧する場合のリピート率、滞在率、閲覧時間は、パソコンでスマホ向けサイトを見る場合のそれらを下回っている。

 しかし、最近ますますその流れが激しくなっているようで、私のサイトも、常連の皆様でさえ、スマホでは閲覧できないコンテンツ(一部の動画など)を除いては、ほとんどパソコンではご覧にならないようになってきている。

 そういう事情もあり、私もここに来て方針をさらに見直し、今後はサイトのマークアップの組み方を「スマホ向け表示もできるパソコン閲覧用サイト」ではなく、どちらかというと「パソコン向け表示もできるスマホ閲覧用サイト」に切り替えていくことにした。

 最近では、満員電車の中での急用のメールなど、どうしてもスマホでなければならない場合だけでなく、自宅の中であっても、そばの机にパソコンがあるにもかかわらず、ベッド上でのスマホによるネットサーフィンを好む人のほうが多いようである。どうやら、スマホ愛好の流行は、必ずしも「時間やお金がないから」という理由にはよらないようで、「情報に対する意識の変化」が関係しているようである。

 そもそも、最新のパソコン向けWindows OSであるバージョン8.1とそのユーザーインターフェースが、パソコンのキーボードを打つことよりも液晶画面にタッチすることを重視した、パソコンのスマホ化を目的として設計されており、指先の美しい女性ならともかく、私のような指先が汗かきのパソコン派男にとっては、Windows OSを購入することの意味は、もはやセキュリティ対策以外にほとんど無いと感じられている。

「ソフトウェア(ソフト)」という呼び方も、Windowsではもはや「アプリ」に変更され、Microsoftのみならず、日本国内のパソコン事業者も好んでおらず、軒並みスマホ事業者側に合わせて「アプリ」という呼び方に変わってきている。

 これらの現象は、端末そのものの物理的形状と重量(大きさや持ち運びやすさ)が人間の日常行動や精神生活に密接に結びついていることを意味しているのだと思う。

 また、同じウェブサイトであっても、パソコンで閲覧した時とスマホで閲覧した時とで、サイト上の情報に対して人間の脳が異なった解釈を与えている(スマホで閲覧すると、重要な内容が重要でないように読めている)可能性があることを示していると思う。

「学生や子供のスマホ利用時間の長さ」が社会的に問題視されているが、逆に「子供がパソコンに向かって読書感想文などの宿題を入力」していたら、今や親は「流行にとらわれないウチの子はいい子だ」などと安心するに違いないのである。

 ある瞬間瞬間の一つ一つの言葉・文章やコンテンツをじっくり読まずに世の中の情報を通り過ぎる快感や、精神活動や人間関係の細切れ状態・断続性を好むユーザーが増加している現状と、スマホの物理的形状(小型化)と重量(軽量化)とがマッチして爆発的に普及した、ということだと思う。ある短い単位時間当たりの脳認知上の内容把握や集中力の持続性が端末によって異なる可能性があることには、やはり注目していきたいと思う。

 そう考えると、私のサイトは時代に逆行してしまっているサイトの典型で、内容的にも分量的にもスマホの小さな画面ではとても閲覧しきることのできないサイトであると思うし、スマホで辿り着いた場合に、「面白くない」、「長くて面倒なサイトだな」と思われて「一度きり」率、離脱率、短時間率が上がること自体は必然だと思う。

 そうは言っても、内心では(具体的には、扱う内容や分量としては)これからも、スマホの小さな画面ではとても閲覧しきることのできない(まずスマホで閲覧したとしても、できれば自宅に帰って机に向かってパソコンで読みたいと思えるような)「パソコンサイト」としてあり続けることにこだわる予定で、スマホ基準とするのは、あくまでもサイト制作者としてのマークアップの記述方法のことである。

 そういうわけで、「パソコンでの閲覧重視からスマホでの閲覧重視へ」という方針転換を全面に掲げるのは、あからさますぎて少しイヤなので、せっかくのこの機会を利用して、一部に残っていたXHTML1.1とCSS2.1によるマークアップを全面的にHTML5とCSS3に改訂することにした。

 これに当たり実施したことを、以下の次回のブログ記事に列挙しておきたい。(ほぼ自分の備忘録のためではあるが・・・。)

●当サイトの構造の改訂内容一覧(マークアップ言語、プログラム)
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/115073717.html


【関連ブログ記事】

●ウェブサイト管理者・閲覧者双方の責任と使命、スマホ・PDA機器の扱い、サーバーの浄化
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/81291993.html

●サイト閲覧推奨環境などを掲載
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/80368836.html

2015年03月10日

今季F1も開幕間近、Formula Eにも引き続き期待

800px-Spark-Renault_SRT_01_E_(Formula_E).JPG 今季のF1もいよいよ開幕間近。

 しかし、冒頭のテストからしてアロンソのマクラーレン・ホンダがカタルーニャ・サーキットで壁に激突。外見ではほとんど何の怪我も負っていないにもかかわらず入院が長かったために、ERS(エネルギー回生システム)による感電説も出ているようだが、早いところ真相を出してもらわないと気持ち悪いのは確かだ。

 現実的に考えて、今季のホンダにはあまり期待していないけれども、結果以前に安全性や情報公開の面で徹底していないようでは、F1の他のチームよりも頭一つ良いチームとして成長していくことは難しいと思う。事故後にできることをやっていないという点は、FIAからも目を付けられるに違いない。

 一方で、まだシーズン中のFormula Eのほうは、相変わらずF1に匹敵する(を超える?)面白さを見せているが、フランク・モンタニーに禁止薬物の陽性反応が出て、第3戦以降は出場停止となったのが残念だった。コカイン誘導体の反応のようだ。

 モータースポーツでドーピングとは珍しい気もするし、実際ほとんど聞いたことがないのだが、それは単にドライバーの身体を増強し中枢神経系を興奮させたところで、ドライビングテクニックに何か有意な効果が出るわけではない、ということだと思う。ドーピングをやったところで、レース後半に急に異常な疲労が来て、大事故につながるだけの話だ。

 一方で、マシンやエンジンには、レギュレーションをかいくぐったギリギリの技術的な「ドーピング」が行われているのだと思う。

 ともかく、やはりドーピングをやったドライバーは追放処分が妥当だと思う。


【画像出典】
フォーミュラE(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%A9E

2015年01月30日

OS・ブラウザの世界分布から見る中東問題・帝国植民地主義・日本のサイバーテロ対策

 今回の日本人の人質二名(後藤健二氏と湯川遥菜氏)の拘束をはじめ、数々の人質の拘束・殺害において、反西洋であるはずのISIS(イスラム国)は、現代西洋文明の恩恵であるパソコンかスマホからYouTubeに動画をアップロードするという行動に出ているわけだが、そういった「恩恵」、昨今のIT・ユビキタスネットワークの枠組みが、西欧列強の帝国植民地主義による中東分割やアフリカ分割、南米分割にまでさかのぼれる興味深さを見てみたい。


※ 以下は、2008年〜2014年の世界のパソコンやスマートフォン、タブレットのOS・ブラウザ普及率を示した地図やグラフ

●StatCounter
http://gs.statcounter.com/
(色々なブラウザ普及率地図のうち、このサイトが最も正確だと思われるので、挙げておく。)


◆国ごとのOS・ブラウザのシェア分布は、その時点での言語(公用語)の分布に追随する

 私のサイトやブログへのアクセスは、9割がもちろん日本からのアクセスで(多くがスマートフォン)、パソコンからのアクセスの9割はWindowsとInternet Explorer(以下IE)による通常のアクセスであり、残る外国からのアクセス(ほとんどが不正攻撃・マルウェアアタック)はほとんどが中国・韓国などのアジアか欧米からのアクセスだ。

 しかし時々、中東・アフリカ・南米・東南アジアからの通常のアクセスや怪しいアクセスもあり、それらを分析したり、先の世界地図やグラフを眺めたりするにつけ、面白いことを感じている。

 例えば、ここ十年間にIEが国内のパソコンのブラウザのシェア一位であることが統計的に発表されたことがある国は(というより、統計がとれるくらい都市部の治安が比較的安定している国は)、日本・中国・韓国・アメリカ・イギリス・オランダ・オーストラリアくらいで、これらの国々は同時にOSからしてMicrosoft Windows「帝国」である。このうち、現在は日本・韓国・アメリカだけがIE専制帝国として残り、それ以外の国々はGoogle Chrome帝国の一員となった。

201412-browsers.png もっとも、2014年現在は、世界のほとんどの国でGoogle Chromeがパソコンブラウザのトップシェアを占めている。これは、OSが何であれ、同じことである。(右図は2014年12月時点のブラウザ分布地図)

 スマートフォンに関しては、必ずしもパソコンのOS・ブラウザの分布に対応していないが、それでもある一定の傾向というものが見出せる。

 OSやブラウザ(およびそのGUI・グラフィカルユーザーインターフェースやキーボード配置)というものは、その国・民族の公用語たる自然言語の文字体系と最も普及しているプログラミング言語体系を高い視認性・操作性のもとで一般国民が扱えなければ意味がない。

(健全な国民生活は元より、クラッキングとしての使い方においても、例えば、イスラム過激派のパソコンやスマホがアラビア語にとって都合よくできていなければ、効率よくテロを起こすこともできないし、テロリストの目や手が疲れるだけである。)

 しかも、中東・アフリカ・南米などでは、現地の民族語・部族語が帝国植民地主義時代に宗主国本国の公用語に取って代わられるなどして、現在では旧宗主国の公用語が公用語として国民に普及している国がほとんどである。

201212-browsers.png 当然ながら、帝国植民地主義の終焉以降、現在のようなグローバルGoogle Chrome帝国が形成されるまでの時期に、かつての被侵略国・植民地のOS・ブラウザのシェアが、かつての侵略国・宗主国のOS・ブラウザのシェアに近似する歴史を辿っていることは、想像に難くない。(右図は2012年12月時点のブラウザ分布地図)

 この統計地図からも分かるように、すでに植民地は宗主国の手を離れ、独立国としてのIT戦略を考える立場を得たはずにもかかわらず、新しいOS・ブラウザが発表されるたびに、かつての宗主国と植民地とがそろって同じOS・ブラウザに乗り換え、別の宗主国文明圏に対して異なるシェアを獲得しているということは、ある意味では、今でも旧植民地は間接的に、宗主国の言語侵略策が形を変えた、穏健なサイバー植民地策のもとに近代化・ユビキタス社会化を模索せざるを得ないことを示している。

 良くとらえれば、今の世界的なIT・情報戦争の波の中で生き残るために、とりあえず旧宗主国の公用語に自国のITシステムをマッチさせることは重要なことだと言えそうだ。


◆イギリス・オランダとその旧植民地
「Microsoft帝国(国民だけでなく、政府自体がMicrosoft至上主義) → 現在、ブラウザだけGoogle帝国」

 日本の「IT友達」であるWindows & IE帝国のイギリス・オランダから見てみる。

 イギリス・オランダ政府とMicrosoftとの関係は、蜜月と言ってもよい。以下のブログ記事にも書いたが、昨年のWindows XPのサポート切れの際、サポート延長のためにMicrosoftに金を出すと真っ先に宣言したのがイギリス政府とオランダ政府だったのは記憶に新しい。Unix系OS・Firefoxが普及しているフランス・ドイツではそんなことはなかった。

●どうとらえてよいのかよく分からないXP関連のサポート延長情報
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/92810587.html

 大英帝国の版図をほぼ継承するイギリス連邦の構成国を上のStatCounterの各時期の地図で見てみると、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、南アフリカ、ナミビア、ボツワナ、ザンビア、ガイアナなど、ほぼ全てでIEがトップシェアを占めたのちにGoogle帝国に移行していることが分かる。また、英連邦を離脱したがイギリスの植民支配を受けたミャンマーなども、一時的にIEがトップシェアを占めている。

 かつての帝国植民地とブラウザの普及率の高い一致率を見るにつけ、こんなところに現代の大英帝国があったのだと気づかされる。OSだけなら、いまだにWindows帝国である。事情が違うのは、人口爆発の多民族国家インドくらいのようである。

 オランダが植民支配していた南アフリカ(ケープ植民地)、ギアナ、アンティルなども、実に綺麗にIE帝国の飛び地となってきたことが分かる。今の情報戦争社会においても、とりあえずはオランダ語方言であるアフリカーンス語が通じる旧宗主国オランダのWindowsとIEを中心とするITネットワークに追随せざるを得なかったからだと思われる。

 ちなみに、オランダはヨーロッパ最強の野球チームを持つが、選手のほとんどは旧植民地の出身である。監督が選手たちに、「俺たち本国だけIE、お前らは別のブラウザで見てくれ」などと言うわけにはいかないのである。

 南アフリカ連邦一帯がWindows & IE帝国になっている現状は、当然オランダ・イギリス白人によるアパルトヘイトの暗黒の歴史を如実に示している。アパルトヘイトの廃止が1994年、Window 95の発表が1995年。その頃、都市部の国民言語はすっかりオランダ語・アフリカーンス語(オランダ語の方言)・英語。どう考えても、南アフリカのIT事情は旧宗主国政府が選んだWindowsとIEの道一辺倒になるしかなかったということだろう。この地域のGoogle Chrome化は極めて遅い。

 オランダによる最大の黄金略奪地域であったインドネシアでは、長年IEではなくFirefoxがトップを占めてきたが、インドネシアだけがオランダ語に侵されずに、「青年の誓い」などで海峡マレー語のクレオール方言と言える独自のインドネシア語を頑なに保ち続け、オランダに抵抗したことと関係があるのかもしれない。Firefoxは非印欧語、とりわけ非ゲルマン語と相性がよいのである。


◆フランス・ドイツとその旧植民地
「Netscape・Unix系OS・Mozilla Firefox帝国 → 現在、ブラウザだけGoogle帝国」

 今でも半ばFirefox帝国であるフランスの旧植民地を見てみると、こちらも見事にFirefox帝国である。これらのアフリカの国々では、FirefoxをバンドルしたUnix系OSディストリビューションの開発が盛んである。(アルジェリア、マリ、ニジェール、コートジボアール、ブルキナファソ、マダガスカル、シリア、カンボジア、ラオス)

 とりわけ、中東でずっとUnix系・Firefox帝国であるのは仏領だったシリアのみ、インドシナ半島でUnix系・Firefox帝国であるのは仏領だったカンボジアとラオスのみであり、かつてのフランス語注入策がいかに強烈であったかを物語っている。

 ドイツも後発帝国植民地主義国とは言え、現在はフランス同様Unix系・Firefox帝国であり、その旧植民地も、南ア連邦・イギリスの委任統治を受けたナミビア以外は見事にUnix系・Firefox帝国となっている。

 Mozilla Firefoxは2002年に登場、その前身であるNetscape Navigatorは1994年に登場しており、帝国植民地主義時代から見れば遠い未来だが、このブラウザ黎明期以降、アフリカの中でIEやGoogle Chromeが下火でUnix系OS・Firefoxがトップシェアを占めてきたのは、Firefoxがトップシェアを占めるフランス・ドイツの旧植民地ばかりである。

 2014年現在、ドイツがとりわけFirefox帝国であるようだが、そのうちGoogle帝国に組み込まれるかもしれない。


◆イタリアとその旧植民地
「Googleローマ帝国 → 現在、そのままGoogle帝国」

 ヨーロッパのうち、地中海地方は比較的早い時期からGoogle Chrome帝国で、面白おかしく極論を言えば、Google Chrome帝国は小型の古代ローマ帝国である。イタリア、スペイン、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビアがそうだが、早速イタリアの旧植民地リビアを見てみると、示し合わせたかのようにGoogle Chrome帝国である。

 リビアは、北アフリカ戦線でイタリアが敗北後、英仏共同統治になったにもかかわらず、カダフィ政権のために現ロシアと同じくGoogle Chrome帝国になった。きっと、GoogleがMicrosoftとMozillaのどちらをも倒した珍しい地域ではないだろうか。

 同じくイタリアの旧植民地であったソマリアとエリトリアは、リビアのようにイタリア語が通じず、ほぼアラビア語やソマリ語などの原住民語で占められているからか、あまりGoogle Chrome帝国になってはいないようである。


◆スペイン・ポルトガルとその植民地
「Firefox嫌い帝国 → 現在、Google帝国」

 歴史的には順番が逆になってしまったが、スペイン・ポルトガルは当然最古参の大航海者で、一見すると、500年〜300年後の現代の世界のIT事情などというものに何の影響ももたらしていないような気がするが、言語侵略という意味では特に南米において成功したのであり、ここでもまた「旧植民地のOS・ブラウザのシェアは旧宗主国に近似する」という法則を免れることが全くできていない。

 スペイン・ポルトガルは、全くもってUnix系ディストリビューション・Firefoxが普及していない国で、上記の統計地図によると、ほぼスペインはChrome、ポルトガルはIEが優勢となっているが、いずれにしてもスペイン語・ポルトガル語に覆われた南米大陸のブラウザのトップシェアを見ると、軒並みChromeかIEである。

 しかし、メキシコやコロンビアやベネズエラやフィリピンやモロッコがChrome帝国、アンゴラやモザンビークがIE帝国である点を見ると、やはり「スペイン語圏はChrome、ポルトガル語圏はIE」という細分化さえ可能で、300年前の西葡両国の植民地領域にほぼピタリと対応させることができ、当時本国の言語を入植させたことがいかに今日の南米のユビキタス社会に影響を与えているかが分かる。

 しかも、地図上の南米におけるFirefox帝国の飛び地を見ると、そこは仏領ギアナであり、フランス本国の情報網やフランス語の記述の利便性に都合のよいIT戦略によってGoogleやMicrosoftが排除されているのであった。

 さらに、スマートフォンのブラウザシェアで言えば、旧宗主国と植民地とで完全一致しているのがこれらイベリア半島と南米で、まさに今Google Chrome大航海時代を向かえているのだ。


◆中東
「イギリスの三枚舌外交の通り → 現在、Google帝国(一方、シリアとシーア派IT網は孤立。いわばサイバー型のサイクス・ピコ協定の完成)」

 さて、中東について特記すると、仏領だったシリアにのみ局地的にUnix系OS・Firefoxが普及していることを先ほど述べたが、中東は基本的には元々Google Chrome帝国である。一方でイランとその周辺のみがWindowsとIEの普及率がケタ違いに高い時期があった上、今でもイランだけが独自路線をとってFirefoxに乗り換えている。

 イランとその周辺のみの特徴と言えば、アラビア語すなわち言語ではなく、シーア派イスラム教であるということで、この地域のイランのITネットワークの孤立は、スンナ派対シーア派の対立に呼応していると言うことができそうである。

 イラクは、Microsoft陣営・Google Chrome陣営で、Netscape・Unix系・Firefox陣営でないことは確かだが、世情が世情だけに、正確な統計はとれないだろう。


◆東欧
「Opera帝国 → 現在、Google帝国」

 不思議なのが東欧で、ベラルーシやウクライナでは、いまだにOperaが最も普及しているブラウザである。しかし、ロシア、グルジア、アゼルバイジャン、カザフスタン、ウズベキスタンなどはすでにGoogle Chrome帝国となっており、Operaがトップシェアである国はいずれ一つもなくなるのだろう。


◆スマートフォン
「現在、大ブロック制」

 スマートフォンのシェアについては、スペイン・ポルトガル本国と旧植民地との一致率の高さを述べたが、基本的には大きな地域ブロックごとの分布となっており、パソコンブラウザほどの宗主国と植民地との一致は見せていない。

 当然ながら、国家機密情報の管理体制の実状が伺えるのはサーバー用OSのシェアからで、個人向けスマートフォンのシェアからであるはずがないので、このブログ記事においてはそもそもスマートフォンのシェアを取り上げる重要性は低いかもしれない。

 大まかに見て、日米露豪はiPhone、東欧と中東はAndroid、アフリカとインドネシアはOpera、中印がUC、南米がChromeである。


◆日本
「過去も現在も、Microsoft専制体制受け入れ国。それなのに、スマホではiPhone陶酔国。Google帝国の支配を免れ、アメリカを愛する、平和なYahoo!万歳国」

 日本は、先に挙げた中国・韓国・アメリカ・イギリスなどのMicrosoft帝国の中でも、とりわけMicrosoft専制君主国であると言える。ITマニアを除き、国・政府から一般家庭までのほぼ全てがWindows & IEで成り立ってきたので、仕方がない。

 一方で、スマートフォンでは、iPhone帝国であり、端末間にOS・ブラウザ・用途などの断絶がある珍しいユビキタス社会を形成している。

 日本の「情報収集の努力と健気さ・一生懸命さ」は世界屈指としても、「諜報活動能力」や「サーバーテロ対策」は極めて遅れていて、奇しくも、今回の人質事件が起きる直前に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が設置されたり、各種官公庁機密文書を電子化する試みが続けられたりしているものの、日本政府はほぼ自国民がWindows & IEで閲覧し、Yahoo!で検索することしか想定していないようである。

 例えば、防衛関連機密文書から各種法人が年度ごとに政府に提出するべき事業報告・財務諸表までもが、郵送から電子提出への移行の対象になっているが、そのほとんどについて「OSはWindows、ブラウザはIEでお願いします」と政府が懇願する事態だ。

 これら日本の情報セキュリティ・NISC ・CIRO・e-Japan・IT戦略本部などの各機関は、警察や自治体職員の出向機関にすぎないものが多く、全部足してもアメリカのCIAやDARPAの一角程度にしかならない。

 国家・企業機密の扱いが、個人のネット税務申告やふるさと納税の扱いとITレベルではほとんど同じだということが言えそうだ。WindowsやIEに致命的なバグが発見されたりサイバーテロが起きたりした場合に、自国や自社の機密データに咄嗟にUnix系クライアントシステムからログインすることができない。もし今回の後藤健二氏のような人質に一瞬の余裕ができたとして、現地のシステムから政府宛に満足に情報を送ることができない。あるいはWindows文化が希薄な国・地域に日本の何が漏れているかが自国で分からないのは、かなり危険である。


◆サイバーテロリストたちが見せる「自己言及のパラドックス」

 ISISは現在、イギリスの「三枚舌外交」、特にサイクス・ピコ協定の打破を謳っているが、自らが「西洋文明の恩恵」であるITネットワークを駆使している以上、それは反西洋的・純イスラム的どころか、帝国植民地主義とサイクス・ピコ協定の有効再利用だと言える。それを自ら壊そうというのは、論理矛盾であるように見える。

 さて、後藤健二氏の映像は、どのメーカーのOSのどのブラウザからアップロードされたものだろうか。それとも、自作パソコンだろうか。少なくとも、動画をYouTubeに挙げたのだから、サーバーのあるアメリカとGoogleの恩恵を受けていることになる。いずれにしても、欧米の帝国植民地主義の系譜を引く現在のユビキタス社会の「おかげ」で可能な行為だ。


【関連ブログ記事】

●ブラウザ界の仲間外れ「Internet Explorer」
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/112725440.html

●Internet Explorerの脆弱性の件
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/94884182.html

●どうとらえてよいのかよく分からないXP関連のサポート延長情報
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/92810587.html

●サイト閲覧推奨環境などを掲載
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/80368836.html

●XPマシンの隠蔽が推奨される中、早速XP関連トラブルで一部の病院の機能が停止
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/92905589.html


【画像出典】

●StatCounter
http://gs.statcounter.com/