2015年08月08日

F1ジュール・ビアンキの死亡事故

800px-Jules_Bianchi_2014.jpg 最近は、あまりF1を見ていない。いや、まずはF1関連ウェブサイトで結果を見てから、面白そうなシーンや、問題のピットインのシーン、事故のシーンなどを手動早送りハイライトで見る、という、生粋のF1ファンが一番やってはいけない見方をしている。

 理由としては、時間がないからではなく、レギュレーションが政治的に決まっていく現状に飽きてきたことなどもあって、やはり電気自動車レースFormula Eファンに寝返ろうかという思いがくすぶり続けているからである。それから、長年F1ファンをやっていると、いざというときに、どのドライバーがどういうことになったかについての全貌がハイライトだけを見ただけで分かるということもあるかもしれない。

 そんな中、昨年の鈴鹿の決勝レース中に、別のマシン(スーティルのザウバーのマシン)を撤去中だった重機(ホイールローダー)に激突して昏睡状態に陥っていたジュール・ビアンキ(マルシャ)が、7月17日に帰らぬ人となってしまい、いつかは本当にフェラーリに移籍していたかもしれないこの有能ドライバーの死にも、色々と思うところはあるのである。

 レースウィーク中のF1ドライバーの死亡事故としては、1994年サンマリノGPでのアイルトン・セナ、ローランド・ラッツェンバーガーの死亡事故以来21年ぶりである。

 それが日本、鈴鹿で起きたことに、何らかの意味深長な追求をしてしまいそうな雰囲気は、当初、海外のファンの間でも、あるにはあったが(以前書いた以下のブログ記事もご参照)、サーキットの構造や安全性、コースマーシャルの行動に特に問題はなく(個人的にも、鈴鹿は総合的に見て世界最良のサーキットの一つだと思う)、三重県立総合医療センターの医療チームも、転院先のニース大学付属病院の医療チームも全力を尽くし、当時のビアンキの速度やフラッグの解釈にも問題はなかったようで、結局のところ不運としか言いようがない事故なのである。

●ビアンキの無事を祈り、チェザリスの死を悼む
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/104270357.html

●ジュール・ビアンキの事故についての続報
http://iwasaki-j-ict.sblo.jp/article/104298367.html

 さて、人の死に対する弔意・哀悼の意ということについて、余談だが、最近英語圏では「R.I.P」という表現が流行しているようだ。「Rest in peace」の略、つまり日本語では「ご冥福をお祈りいたします」に近いようである。ラテン語の「Requiescat in pace」から来ているらしく、英語だと頭文字が同じでよかったですね。

 早速、ビアンキに対して、同僚のドライバーたちも(小林可夢偉も含めて)この略語で弔意を表していた。

 しかし、日本人は人の生老病死に至るまで西洋世界のマネ事をするのが好きらしく、最近は、日本人が日本人に対して「誰それがお亡くなりになり、残念です。R.I.P」などと使っている例を見かける機会も増えている。

 キリスト教と仏教の違い、「Rest in peace」と「冥福」の違いも、どうでもよいと思ってゴチャ混ぜにして使っている点が、誠に日本人らしいと思っている。

 F1は、今でも西洋圏では、人によっては半ば貴族・紳士・白人のスポーツであると思っているケースもあり、身分・人種差別で人選が決まるようなことだってあるが、あちらの人々が自国民や他の欧州国民に対して「ゴメイフクヲオイノリシマス」などとゴチャ混ぜにして言うとは思えない。ゴチャ混ぜ体質というのは、良くも悪くも特筆すべき日本人の宗教観の表れであると思う。

 話がそれたが、ビアンキはビアンキで、自分が信じていたところに行けばいいと思うし、今頃セナやラッツェンバーガーとレースしていればいいなと思うのみである。


【画像出典・著作権情報】

●ジュール・ビアンキ(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AD

2015年03月10日

今季F1も開幕間近、Formula Eにも引き続き期待

800px-Spark-Renault_SRT_01_E_(Formula_E).JPG 今季のF1もいよいよ開幕間近。

 しかし、冒頭のテストからしてアロンソのマクラーレン・ホンダがカタルーニャ・サーキットで壁に激突。外見ではほとんど何の怪我も負っていないにもかかわらず入院が長かったために、ERS(エネルギー回生システム)による感電説も出ているようだが、早いところ真相を出してもらわないと気持ち悪いのは確かだ。

 現実的に考えて、今季のホンダにはあまり期待していないけれども、結果以前に安全性や情報公開の面で徹底していないようでは、F1の他のチームよりも頭一つ良いチームとして成長していくことは難しいと思う。事故後にできることをやっていないという点は、FIAからも目を付けられるに違いない。

 一方で、まだシーズン中のFormula Eのほうは、相変わらずF1に匹敵する(を超える?)面白さを見せているが、フランク・モンタニーに禁止薬物の陽性反応が出て、第3戦以降は出場停止となったのが残念だった。コカイン誘導体の反応のようだ。

 モータースポーツでドーピングとは珍しい気もするし、実際ほとんど聞いたことがないのだが、それは単にドライバーの身体を増強し中枢神経系を興奮させたところで、ドライビングテクニックに何か有意な効果が出るわけではない、ということだと思う。ドーピングをやったところで、レース後半に急に異常な疲労が来て、大事故につながるだけの話だ。

 一方で、マシンやエンジンには、レギュレーションをかいくぐったギリギリの技術的な「ドーピング」が行われているのだと思う。

 ともかく、やはりドーピングをやったドライバーは追放処分が妥当だと思う。


【画像出典】
フォーミュラE(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%A9E

2014年10月07日

ジュール・ビアンキの事故についての続報

 昨日の記事の続き。まだまだ情報は錯綜しているが、いくつか続報もあったし、映像もYouTubeなどで出回ったので、随分まとまってきているようだ。

 現地で日本の観客が撮影したと見られる事故の瞬間映像とその後の救急搬送(搬送開始からサーキット外での搬送中を含む)の映像がYouTubeにいくつか上がっていた。

(動画の紹介記事を本記事の下方にリンク)

 クレーン車の下にビアンキのマシンが滑り込んだという続報が本日もあったが、事故の瞬間映像を見たところ、それが確認できた。まずフロントウィング・ノーズ部分が滑り込み、クレーン車の後部が跳ね上がり、その衝撃でスーティルのマシンが落下していた。

 ビアンキの頭部がクレーン車に直撃した可能性があるようだ。

 事故映像の公開については、やはりFIA(レースディレクターのチャーリー・ホワイティング)・FOMからの公開禁止指示があったとのことである。

 救出作業と救急搬送の映像も見てみたが、コースマーシャルたちが状況を把握できていなかったのか、最初はどうも動きが遅いように見えたし、救急車の到着にも約8分かかっており、過去の海外でのF1の重大事故の処理と比べても多少遅かったので、あとは日本の医療が全力を注いでビアンキを救ってほしいと思ってしまう。(緊急手術が成功したのかどうかについての真実味のあるニュースは、まだないようだ。)

 昨日も、鈴鹿サーキット側には過失がないのではないかと書いたし、基本的にレギュレーション上もそうであると言える上、以下の記事にもあるように、鈴鹿のマーシャルは世界的評価も高い。鈴鹿のマーシャルの皆さんは、今回の事故に懲りずに仕事に誇りを持っていていいと思う。

マーシャルとは? F1用語集
http://formula1-data.com/f1-database/f1-ma/marshal.html

 そしてさらに、競技委員のミカ・サロらによる新たな見解として、事故当時はイエローフラッグが出ていたにもかかわらず、ビアンキが他のマシンよりも高速で走行していたことから、ビアンキがイエローフラッグを見落としていた可能性があるという見解も出ている。

ビアンキの事故を受け、F1日本GPの運営判断に割れる意見
http://www.topnews.jp/2014/10/07/news/f1/117866.html

 事故が起きたコーナーと、その一つ手前の右コーナーは、高速で走るドライバーには逆バンクに感じられる(実際はバンクは付いていない)コーナーだし、特に事故が起きたコーナーは上ってすぐに下るブラインドコーナーでもあるから、ウェット状態ではトラクションがかからず、魔のコーナーになるおそれもあると思う。

 さて、観客が私的に撮影した映像の中で、公式なニュースで言及・リンクされたものを以下に挙げておく。

【動画】 ジュール・ビアンキ、クラッシュの瞬間 ※閲覧注意 →→ すでに削除されている
http://f1-gate.com/bianchi/f1_25235.html

 今現在、観客によって私的に撮影されたと見られる映像は、どんどん削除されている模様だ。

 以下の記事は、同じ映像を紹介しつつ、グリーンフラッグを問題視する内容になっているが、このグリーンフラッグは「この場所以降はグリーンフラッグ(イエローフラッグ解除)、この場所よりも手前ではイエロー」という意味なので、問題はないと思う。

【動画】ビアンキの事故の模様。疑問視されるグリーンフラッグ →→ 上掲の動画と同じ動画が復活
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141008-00000001-fliv-moto

 それにしても、観客が自分のビデオカメラなどで私的に撮影した動画までもが(FOM)Formula One Managementの削除要請を受けているとすれば、やはり少々納得がいかないと感じる。テレビの国際映像を勝手に複製してYouTubeでばらまいている著作権法違反者と、私的な貴重映像をYouTubeで配信しているF1ファンとで、削除要請や罰則に大きな差を付けてもらわないと困るという気はする。

 もちろん、こういう事故映像の場合は、悲惨な映像であるのは確かだし、そんな中でサーキット脇やマシン上の商業広告がきらびやかに映るのが不適切なのは分かってはいるのだが。上掲の動画が削除されている理由も、グリーンフラッグの問題ではなく、商業権・著作権の問題によるものだと思う。

 しかしそうは言っても、東日本大震災の時も、テレビで放映されている映像よりもYouTubeで流れている映像のほうが、ずっと臨場感や真実味があり、かつ命についてより深く考えさせられるものが多かったように思う。
タグ:F1

2014年10月06日

ビアンキの無事を祈り、チェザリスの死を悼む

 昨日のF1日本GPで、単独コースアウトしたザウバーのエイドリアン・スーティルのマシンの撤去作業中だった重機(おそらくクレーン車)に、マルシャのジュール・ビアンキが激突した事故について。

 国際映像ではビアンキの事故の瞬間が映ることはなく、スーティルのスピンとビアンキの事故後の映像しか流れなかったが、FIAが事故映像の使用を禁止したということかもしれない。

 当初のテレビでの放映では、ビアンキが事故を起こし緊急搬送されたという、お知らせ程度のコメントしか聞かれなかったが、海外のテレビ局やF1雑誌からの情報を含む続報によれば、どうやら重機の下にビアンキのマシンが滑り込んだらしい。

 最初はドクターヘリで緊急搬送という情報だったが、結局は視界不良でヘリが飛べず、救急車で三重県立総合医療センターに搬送されたようだ。

 日本での情報はそこまでだし、まだまだ情報は錯綜しているが、海外ではもう少し詳しめのニュースがあるようだ。以下のサイトにも写真が載っている。自身もコースアウトしたばかりのスーティルがビアンキの救出作業を見守る姿や、2009年のハンガリーGPで瀕死の怪我を負ったマッサが心配する姿が印象的だ。

http://www.dailymail.co.uk/news/article-2781081/BREAKING-NEWS-Formula-1-star-seriously-injured-crashing-tractor-race-hit-heavy-rain.html

 ドイツの「Auto Motor und Sport」誌は、ビアンキのマシンが激突した衝撃で、すでに釣り上げられていたスーティルのマシンが落下したと報じている模様である。

 事故を防止できなかった原因については色々な意見があり、「スーティルがクラッシュした段階でセーフティカーを出すべきだったのではないか」、「レッドフラッグ(レース中断)にしてから重機を入れるべきだったのではないか」、「大雨が来ることが分かっていたのだから、レース開始を早めて周回数を少なく終わり、ハーフポイントにすればよかったのではないか」といったものがあった。

 鈴鹿サーキット側の責任を問う声もあったが、レース続行の可否の判断は、おそらくサーキット側とはほとんど関係がなく、FIAから派遣されたレースディレクター(永久スターターのチャーリー・ホワイティングが就任)やスチュワードなどが担う上、実際はタイヤもエクストリームウェザーよりもインターミディエイトで十分な時間帯が多く、過去の雨天のレースと比べても十分にレースができるレベルの雨量だったので、本当にレースを中断すべきかどうか判断が難しかっただろうし、サーキット自体や重機・救急車両・ドクターヘリの配備などにも問題はなかったと思う。

 ただし、元F1ドライバーのオリビエ・パニスの以下の意見は参考になると思う。

「セーフティカーを出動させるか赤旗でレースを止めない限り、トラクターの類はコースに入れないようにするんだ」
「私が懸念するのは、コース上の(各車両)だ。向こうは背が高すぎるし、こっちは地面に寝そべるように座っているんだ」
【引用元】
http://www.topnews.jp/2014/10/07/news/f1/races/japanese-gp/117837.html#sthash.nKn9EKnb.dpuf

 私も、直接の原因は、雨天ではなく、F1マシンと重機の構造・車高の差だと思う。F1マシンがこういった重機の下に滑り込むと、ドライバーの頭がちょうど重機の下方にヒットする位置関係になってしまっている。

 いずれにしても、不運な事故と言うしかない状況に見えた。

 それから、同じく昨日、アンドレア・デ・チェザリスが事故死した。高速道路を日本製の大型オートバイで走行中の事故死とのことで、日本にまつわるF1の不運・不幸が重なって何だか気分が重い。

 今は、三重県立総合医療センターの医療技術を信じて、ビアンキの無事を祈るしかない。
タグ:F1

2014年09月13日

電動フォーミュラカーレースシリーズ「Formula E」が開幕!!

800px-Spark-Renault_SRT_01_E_(Formula_E).JPG いよいよ二年前から楽しみに待っていた史上初の電気自動車フォーミュラカーシリーズ「Formula E」(略称は「FE」)が開幕した。

 準備期間中だったここ二年間、F1ファンの間でも、F2やGP2やスーパーフォーミュラの新設の時の空気とは全く違って、「主催者・FE側がうまくやれば、ひょっとしたらF1の人気を超えるかもしれない」、「F1からFEに“乗り換え”ようかな」という声があったくらいで、私も何となくそういう衝動を感じてF1もFEも同じくらい追いかけていたが、今日の開幕戦を先ほど見てみたら、やはり面白い。というわけで、相当予定通りに、これからの将来は(と言うよりこれからの近未来は?)F1とFEの二刀流ファンで行くつもりである。

 いきなり開幕戦から、最終コーナーで激突され空中でのマシン一回転の憂き目に遭ったハイドフェルドが、激突したニコラ・プロストに怒っていたが、F1を半ば追い出された後でこういう夢中になれる新天地が待っていたのは、才能のあるハイドフェルドとしてはよかったのではないかと思う。

 FEは、半分は「F1のOBレース」のようなものだし(10チーム全てから元F1ドライバーが出走。ただし、ドライバーの年齢はF1と同程度に若い)、往年のF1ファンならドライバー名やチーム名を覚える苦労なんてものもなく、むしろF1を理不尽な形で(スポンサー・金の問題やクラッシュゲート事件などで)追い出された、ハングリー精神のあるドライバーが多いので、そういうところでもFEが面白く感じられるのかもしれない。

 F1はF1でこれからも見ようとは思うが、チームでポチ犬のように扱われクラッシュゲート事件に巻き込まれたピケJr.などには、特に頑張って欲しい。ディ・グラッシ、ブエミ、ダンブロシオ、アルグエルスアリ、ブルーノ・セナなどもそうだが、政治と金にまみれたF1に戻るよりも、FEのほうが似合っているのではないかと思う。

 ドライバーだけでなく、チームの実質的オーナーとしても、トゥルーリ、アンドレッティ、アグリと懐かしいF1ドライバーの名前が並ぶ。トゥルーリは兼ドライバーでもある。フォーミュラカーとほとんど縁のないアウディがアプトにどこまで関わるのかにも注目である。

 FEは、アジアや旧共産・社会主義国を転戦するようになってもなお「欧州貴族文化的・政治的な」空気の強いF1とは違い、アメリカのインディカーのような自由なガチンコ勝負要素(ストリートコース、順位の入れ替わり、女性ドライバー)といった要素も含まれているので、そういう点も面白い。

 トゥルーリやハイドフェルドやフランク・モンタニーなどの円熟したF1のベテランOB陣や、オリオール・セルビアや佐藤琢磨のようなCART・インディ経験者の活躍も楽しみである。セナ(アイルトン)やプロスト(アラン)やピケ(ネルソン)といった懐かしい名前も、甥のブルーノ・セナや、息子のニコラ・プロストやネルソン・ピケJr.で聞くことができて嬉しい。

 あとは、レース数の問題、コストの問題、音(迫力)の問題などがどう片付いていくかだと思う。それにしても、そもそも騒音問題がないEVカーだからこそ、街のど真ん中でレースができるわけで、これでまた、音を出すためにコストと電気を使い車体を重くするなどして環境を汚し、FEがF1化したら、元の木阿弥だし、フォーミュラカーレース史をきちんとまじめに追いかけているファンなら、そんなところで文句は付けないと思うのだが、どうなのだろうか。

 爆音・音速・ガソリンエンジンですっ飛ばすセナ・プロスト・シューマッハの姿は、あれはあれで崇高な過去の歴史。FEはFEで、別の形で孤高でなければならない。私の一ファンとしての思いはそんなところである。

【画像出典】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%A9E

2014年07月22日

フェリペ・マッサの不調の原因を考える

220px-Felipe_Massa_2008_Canada.jpg 我が贔屓F1ドライバーのフェリペ・マッサの話です。

 カナダGPでペレスと接触しタイヤバリアに激突してリタイア、前回のイギリスGPで単独事故を起こしたライコネンに激突されてリタイア、一昨日のドイツGPでもマグヌッセンと激突しマシンが一回転してリタイア・・・。

 さすがに10年以上もマッサのファンをやっていると、2009年ハンガリーGPでの瀕死の事故以降の運命が違いすぎるので、疫病神でも憑いているのではないかとさえ思えてきます。地元ブラジルのファンや世界中のファンも言っていますが、「誇れるのはファン歴の長さくらいで、不運な事故の数は誇れないね」といったところです。

 F1とW杯の両方を見ていたブラジルのファンは、「疫病神がネイマールに移ったかと思ったら、直後にやっぱりマッサに戻ってきた」と意気消沈のようです。あちらでは、もっと過激なニュアンス(「呪い」などのニュアンス)で言っているのかもしれないですが・・・。

 そして、そんなマッサ自身が、精神的に参ってしまってセラピーに通っていたくらいなので、ファンが一丸となって疫病神を退治するしかなさそうです。マッサ自身は、イタリア移民の子孫ですし、根っからのブラジルのノリをやっている姿は見たことはないですね。しかし、バリチェロと共に大変な愛国者ですけれど。

 日本だと、フェラーリ時代からそうですが、アロンソやライコネンのファンが多いし、私も同僚など周りにF1ファンがいなくて寂しいので、ここは特にブラジルのファンにサンバの勢いで疫病神を吹き飛ばしてほしいところです。

 さて、マッサの事故多発の原因としては、圧倒的に「疫病神が憑いているとしか思えない不運」、つまりは他のマシンやマシンのパーツが勝手にマッサ目がけて飛んできてマッサのマシンやヘルメットに激突、というパターンが多いわけですが、そうでない点を探せないわけではないと思っています。

 やはり10年間見てきて変わっていないと思うマッサの特徴は、ライン取りのラフさと相手マシンの動きへの過信ですね。

 まずライン取りのラフさについて。フェラーリ時代のチームメイトとの比較が一番分かりやすかったですが、アロンソやライコネンはコースをタイトなレーシングライン(理論上の最速ライン)で走行しようとする一方で、マッサはライン取りが相当にラフだというのは感じます。

 特に、コーナーのエイペックスをきっちり通らないという癖がある気がします。ただし、縁石の状態が悪い(縁石が高かったりデコボコだったりする)サーキットでは、ハードタイヤでタイトなライン取りをしすぎた場合、縁石に乗ってジャンプした分だけグリップが消えるので、こういうときは、多少エイペックスを大回りする分だけタイヤを痛めつけないで済むマッサがアロンソやライコネンよりも速いタイムを出しています。

 しかし、マッサのようなドライビングスタイルは、マッサに都合のよい条件がそろったサーキットでしか通用しないことになります。マッサが極端に得意なサーキットは、バーレーン、イスタンブール、インテルラゴス、マニクール、モナコ、バレンシア、シンガポールなどだと言えます。こういった、コーナーのエイペックスを通らなくてもラップタイムへの影響が小さいサーキット(ストレートとコーナーの配置がマッサ好み)か、縁石があまりない市街地サーキットで好成績を出しています。

 そして、これまでの優勝の全てと最速ラップタイムのほとんどを、ブリジストンタイヤで記録していますから、タイヤについても自分のスタイルにピッタリと嵌っていない限り、速く走れていないわけです。

 ちなみに、反時計回りのサーキット(イスタンブール、インテルラゴスなど)で速く、特にポールポジションが多い、という特徴もありますが、これは体の左右の違いから来る癖のようなものだと思います。当然、反時計回りのサーキットでは、左コーナーが多くなるので、左コーナーでの走りがうまいということでしょう。

 例えば、バトンのようなタイプのドライバーは、各サーキットでの臨機応変な対応がうまいわけです。基本的にバトンは、アンダーステア気味のマシンを好みますが、マクラーレンに入ってからは特に、タイトに通った方がよいと思うコーナーは、きっちりとハミルトン並みにタイトなラインを通っていますし、タイヤにもそれ相応のデグラデーションを引き起こしています。

 マッサの場合は、上記の「縁石の状態や、ストレートとコーナーの組み合わせがマッサにとって都合がよいこと」、「できれば左回りサーキットであること」、「自分好みのタイヤであること(ブリジストンタイヤ)」の条件のどれかが外れると、途端に遅くなります。

 それから、相手マシンの動きへの過信。冒頭に挙げた事故だけを見ても、ペレスとの接触とマグヌッセンとの接触に関しては、マッサでなかったら起きていなかった事故である可能性もあると思います。マッサのライン取りが中途半端すぎるために起きた事故でもあると思います。

 マッサは、ペレスやマグヌッセンなどの若手よりはミラーをきちんと見ているのだから、ほんの瞬時の判断で、マシンの脇を締めるか相手のマシンの分だけ空けるか、どちらかにしないと、またノーズを突っ込まれるだけだと思います。

 そういうわけで、「マッサが不調」と言うよりは、「これがマッサの元々のドライビングスタイル」と言ったほうがよいのかもしれません。やはり、「マッサはマッサ」のようです。

 などと色々と書いたものの、結局はこれからも筋金入りのマッサファンであることは変わりないだろうと思う私でした。

 それにしても、F1とW杯を比べてみて不思議に思うのですが、F1ではブラジルのファンの暴動は聞いたことがないですね。ピケJr.のクラッシュゲートのときも、暴動らしきものは起きませんでした。どうしてサッカーばかりが、あんなに血なまぐさいのでしょうか・・・。ネイマールに怪我をさせたコロンビアのスニガに対しては、殺害予告の文句がネット上でも踊っていますが、本当にやめてほしいです。


【画像出典】
フェリペ・マッサ(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%9A%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B5

2014年03月18日

今季F1が開幕し、可夢偉がマッサに激突・・・

 小林可夢偉が我が贔屓ドライバーのマッサに激突という、何ともゆゆしき皮肉な事態で始まった今季のF1。

 当初はマッサもファンも可夢偉を批判していたが、可夢偉のせいではなく、マシントラブルのせいだったということで、可夢偉がファンに反論する事態となっている。

 それにしても、同じ激突を演じたところで、「あいつならやりかねない。きっとドライバーのせいだ」となるか、「あいつがミスするわけがない。きっとマシントラブルだ」となるかは、残念ながらこれまでのドライビングで決まるわけで、「可夢偉のことだから、マシントラブルに違いない」と最初からファンに言わせるくらいの走りを期待している!

 実際に、一昨年までのグロージャンやマルドナードも、ミスでない時まで、「あいつのことだから、ドライビングミスだろう」と言われていたのだった。結局、そんなことで評判は決まるのであった・・・。

 我が贔屓ドライバーのマッサは、こうして激怒のゼロポイントで今季をスタートしたわけだが、仕方がない。

【参考】

マッサ「小林に追突され表彰台の可能性を失った」:ウイリアムズ日曜コメント
http://as-web.jp/news/info.php?c_id=1&no=55153

小林可夢偉、世界中のファンに反論「どうやって止めるの?」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140318-00000000-fliv-moto

2014年01月11日

F1新カーナンバー発表!

 フランスはメリベルのスキー場でのミハエル・シューマッハの大怪我と共に年末年始を迎えたF1界隈。依然として重体の状況であり、現在はあえて低体温にして脳活動を低下させているというニュースもあった。ファンとしては、静かに見守る以外にない。

 そんな中、今季からドライバーが自分の好みで付けられるようになったパーマネントナンバーが発表された。F1関連ニュースでも「カーナンバー」としてあるところが多いので、この記事のタイトルにもそう書いたが、そのシーズンのF1マシンに与えられるナンバーではなく、実際は(というよりヨーロッパ現地では)、ニュアンスとしては「ドライバーのパーマネントナンバー」といったところだ。そのドライバーが乗っているF1マシンに付くナンバーという意味では、「カーナンバー」ではあるが。

 我が贔屓のマッさんは19という素数をお選びになったようである。しかし、今季こそ、今までの何だか「割り切れない」成績を脱して、よい成績を残してほしいものである。今のウィリアムズはドン底なので、今度こそ這い上がれるに決まっていると信じたい。

 以下、各ドライバーのカーナンバー。

2014年F1エントリーリスト(2013年コンストラクターズランキング順)
1.セバスチャン ベッテル(レッドブル)※チャンピオンでないときは「5」
3.ダニエル リカルド(レッドブル)
6.ニコ ロズベルグ(メルセデス)
44.ルイス ハミルトン(メルセデス)
7.キミ ライコネン(フェラーリ)
14.フェルナンド アロンソ(フェラーリ)
8.ロマン グロージャン(ロータス)
13.パストール マルドナード(ロータス)
20.ケビン マグヌッセン(マクラーレン)
22.ジェンソン バトン(マクラーレン)
11.セルジオ ペレス(フォースインディア)
27.ニコ ヒュルケンベルグ(フォースインディア)
21.エステバン グティエレス(ザウバー)
99.エイドリアン スーティル(ザウバー)
25.ジャン-エリック ベルニュ(トロロッソ)
26.ダニール クビアト(トロロッソ)
19.フェリペ マッサ(ウィリアムズ)
77.バルテリ ボッタス(ウィリアムズ)
4.マックス チルトン(マルシャ)
17.ジュール ビアンキ(マルシャ)
9.マーカス エリクソン(ケータハム)
10.小林可夢偉(ケータハム)
タグ:F1

2013年11月29日

今季のえげつないF1も終了

 今季のF1も終了。今季で引退のウェバーの最後の走りが感動的だった。我が贔屓ドライバーのマッサは、来季はウィリアムズから参戦。

 マッサは、ハミルトンとチャンピオン争いをした2008年に自分よりもポイントが下位であったライコネンにフェラーリのシートを奪われる形になるので、どういう心境だろうと思ったが、そこはさすが、「まさかのマッさん」らしく気丈に振る舞っているようで、自分のことはともかく、カネでシートを買うペイドライバーたちを「売春婦」だと発言。最後までマッサらしいマッサであった。(全世界のF1ファンから、「それを言うなら買春じゃないのか?」とまっとうなツッコミを入れられていたのが面白かった。)

 ウェバーもペイドライバーが大嫌いなドライバーの一人だったが、どうやら私がマッサやウェバーを好きなのは、そういう「風変わりな性格への興味」から来ているようだ。特にウェバーは、マルドナードとグロージャンが嫌いだったようだが、最近はこの二人の走りもよくなってきている。

 マルドナードとグロージャンは少し前まで、他のマシンに容赦なく激突する二大巨頭ドライバーで、マルドナードはレース中によく激突し、日本のF1ファンからは「師匠」と呼ばれ、グロージャンはスタート直後によく激突し、日本のF1ファンからは「グロージャンミサイル」、ウェバーからは「一周目の狂人」と呼ばれていた。

 全くニュアンスは異なるのだが、F1界の悪い意味でのえげつない言葉と言えば、インドGPで、トラックサイド・オペレーションズ・ディレクターのパーメインがライコネンに対し、ライコネンのすぐ後ろをライコネンよりも速く走っていた同じチーム(ロータス)のグロージャンに順位を譲れと指示する時に、「f●cking」を使った暴言を吐いたのが、記憶に新しい。「おい、どけよ、クソ!!」という発言だった。

 個人的には、いくら激しい競争を繰り広げるモータースポーツだからと言って、こういう発言は無いに越したことはないと思う。アイスマン(寡黙な男)であるはずのライコネンが、さすがに頭に来て同じ単語を入れて反撃したのも、ある意味仕方がないことだったと思う。

 歴史的にF1は、サッカーやゴルフやラグビーなどと同じで、それなりの貴族的な規範・マナーというものに立脚しているし、少なくとも選手であるドライバーに対する言動として、やってはいけない言動というものがあると思う。

 とここまで書いて、今季のチャンピオンで、毎年自分のマシンに女性の名前ばかり付けて自画自賛しているベッテルを思い出したが、来季はベッテルの圧倒的な優位がどこまで続くのか、収まるのか、それとも逆転されるのか、楽しみである。アロンソが「昔かたぎのドライバー」と賞賛したウェバーは、この若きチームメイトに四年連続でチャンピオンを持って行かれたのである。

 ところで、マシンにEVを用いるFormula Eは、全戦がテレビ朝日で生中継されることになったらしい。これは嬉しい。もちろん、放映権もカネ・ビジネスで決まるのだとは思うが・・・。

2013年10月10日

2014年のF1のレギュレーション変更

「来季F1はあまり楽しくなさそう」とドライバー(オートスポーツweb)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131018-00000009-rcg-moto

 来季のV6ターボエンジンは、すでに何チームかがその姿や音を公開していますが、ファンの間では「芝刈り機か掃除機の音みたい」という意見が多いようで、レギュレーションに従わなければならないドライバーやメカニック、エンジニアたちがかわいそうになります。

 確かに、我が贔屓ドライバーのマッサが言うとおり、ドライビングも今季ほど楽しくないかもしれないですし、逆にそうでもないかもしれませんが、ダウンフォースとグリップが低下し、エンジンパワーの比重が大きくなる分、さすがのエイドリアン・ニューウェイ(レッドブル)もうまく対応できるのか、どういうマシンを作ってくるのか、ベッテルの五連覇はあるのか、という点には注目したいですね。

 当のマッサは、F1では、ザウバー、そしてフェラーリと、フェラーリエンジン搭載マシンにしか乗ったことがない、実は稀有なドライバーですが、来季はどこに行くのでしょうか。